思想する〈からだ〉 解答例

(一)「『ウレシソウ』に振舞うというジェスチュアに跳びかかる」とあるが、どういうことか、説明せよ。

解答例

いいかげんな演技者は、嬉しさを表現する際、自分の状態を表現する言葉を選ぶ経緯をとらず、陽気な口調や身振りのパターンを想定し、短絡的にそのまま振る舞うということ。

ポイント

(a)いいかげんな演技者(二流以下の役者)

(b)嬉しいということばの内実に身を置くのではなく

(c)陽気な口調や身振りのパターン(典型)を想定

(d)短絡的に(考えなしに)そのまま演じる(ふるまう)

(二)「賛嘆と皮肉の虚実がどう重なりあっているのか知れたものではない」とあるが、それはどういうことか、説明せよ。

解答例

役者の落涙の演技に対する称賛の言葉は、役者の凄さを褒めたたえる本音なのか、内心の失望をあえて逆に表現した嘘なのか、容易には判別できないということ。

ポイント

(a)芝居で涙を流す役者に対する称賛の声

(b)役者の凄さを褒めたたえたのか *「賛嘆」の説明

(c)内心の失望をあえて逆に述べたのか *「皮肉」の説明

(d)本音か嘘かを判断できない

(三)「自分ひとりでいい気持ちになりやがって。芝居にもなんにもなりやしねえ」とあるが、それはどういうことか、説明せよ。

解答例

役者が、演じる人物の境遇とは無関係に、一人で回想や連想で自己陶酔すると、そのすりかえが共演者にはすぐにわかり、しらけてしまうため、よい演技にはならないということ。

ポイント

(a)役者が(一人で)登場人物の行動の展開とは無縁の位置に立ち

(b)回想や連想による自己陶酔(わが身あわれさに浸る)

(c)そのすりかえが共演者に伝わる

(d)舞台がしらけてしまう(よい演技にならない・芝居の質が落ちる)

(四)「『感情そのもの』を演じることを捨てねばならぬ」とあるが、それはどういうことか、説明せよ。

解答例

役者は、激烈に行動する身体を充溢するものを、からだの動きのままに表現すべきであり、事後的に意識されるはずの情緒を先取りして意識すべきではないということ。

ポイント

(a)役者は激烈に行動する身体を充溢するものを

(b)からだの動きのままに表現すべきで

(c)事後的に意識されるはずの情緒(感情)を

(d)先取りして意識すべきではない