「なぜか」(解答方針)

「なぜか」の「核」

「なぜか」と問われる場合、「答案の核」は次のいずれかである。

(ⅰ)「現象」の前提となる 原因・きっかけ・背景
(ⅱ)「行為」の前提となる 意図・目的・期待される効果
(ⅲ)「考え」の前提となる 論拠・判断材料

*(ⅰ)(ⅱ)/(ⅰ)(ⅲ)などが同時に問われていることもある。
*このうち③は「いえるのはなぜか」と問われることが多いため、別記事でくわしく扱う。

「なぜか」と問われたときには、「原因」なのか「意図」なのか「論拠」なのかをいったん考えるといいですね。

「いえるのはなぜか」と問われている場合には、(ⅲ)で確定です。

3つの「なぜか」 cause/effect/warrant

細かい話に入ります。「なぜか」は「理由」が問われている問題ですが、ひとくちに「理由」と言っても、大きくみて次の3つがあります。

(ⅰ)原因・きっかけ( cause 型 )

  「ある結果」に対しての「実態としての前提」を答える。

(ⅱ)目的・意図・効果・影響( effect 型 )

  「ある営み・行為・運動」によって成立が期待される「次の状況」を答える。

(ⅲ)論拠・判断材料( warrant 型 )

  「筆者(表現主体)」がそのように「判断」した「論拠」を答える。

単純に「なぜか」と問われている場合は(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)のどれになるのか考える必要がありますが、「いえるのはなぜか」と問われている場合は(ⅲ)で確定して大丈夫です。

(ⅰ)原因・きっかけ

(ⅰ)は、「ある結果(現象)」に対して、実態として「前」にある出来事を答えます。

この場合の「ある結果」は、何らかの意図や目的をもった行為ではなく、「成り行きで結果的にそうなる」ものです。

たとえば、「氷が解けると水になる」とか、「森を切り開くと砂漠化が進む」といったものです。

答案は「傍線部」から見て「現象的に先行する条件」を答えることになります。論理的にみて、「傍線部の述語」の「前」までを答えることになりますから、「傍線部の述語」を答案に書き込むことはしません。

例:

〈問〉「よしおが泣いた」とあるが、それはなぜか。

〈答案〉「よしおは転んでしまい、痛かったから。」 *「泣いた」は答案には書かない。

「よしお」という主語は、答案にも書いておくことが普通です。字数に入るなら書いておきましょう。

ただし、「このときよしおが泣いたのはなぜか」というように、「傍線部」や「設問」に「主語」が書かれている場合には、答案に主語を書く重要度は高くありません。

「傍線部」や「設問」に「主語」が書かれている場合、「出題者」と「解答者」のあいだで「共有済のもの」とみなせるからです。

(ⅱ)目的・意図・効果・影響

(ⅱ)は「傍線部の論理」が成立するとして、「次」に起こる(起こりうる)ことを答えます。

言いかえると、傍線部の「アクション/イベント」が成立することで、どんな「エフェクト」が想定されているのか、ということを答えることになります。

「次に起こる(起こりうる)こと」は、「成り行きで結果的に起こること」ではなく、傍線部の行動の「前」に「主体者が予測・期待していたこと」になりますから、小説問題では「目的・意図」と考えたほうがわかりやすいですね。

この場合、「次に起こること」が解答の「核心」であり、「傍線部そのもの」が条件的な「前提」になります。

つまり、「意図型」の「なぜか」は、実態の流れとしては、「傍線部そのものの成立」を前提(先行条件)として、そのうえで「次に起こる(起こりうる)ことを書く」ことになります。

したがって、答案の字数に余裕がある場合には、「傍線部そのもの」+「次に起こる(起こりうる)こと」のすべてを書き込んでよいことになります。

たとえば、今日中に家に帰りたいよしおが、終電間際に駅に向かって走っていたとして、「よしおが走っているのはなぜか」と問われた場合、

「よしおは、走ることで終電に間に合うと思ったから」とか、

「よしおは、走らなければ終電に間に合わないから」などと書くことができます。

もちろん、「解答の核心」「理由にあたる部分」なので、「傍線部そのもの」は、状況次第で圧縮したりカットしたりすることになります。

「傍線部」はすでに「出題者」と「解答者」のあいだで共有されているので、「情報」としての重要性は低いです。しかし、「説明の論理性」としてはあったほうがわかりやすいので、書けるなら書いておきます。

さらにその「傍線部」は、多くの場合、「主語」が省略されていたり、「比喩的な表現」であったり、「指示語」が含まれていたり、そもそもわかりにくいものになっています。

したがって、「意図型」の「なぜか」は、次のようなイメージで答案を構築します。

傍線部そのものの説明傍線部が成立すれば起こること から。
    ①     <      ②

* ②は必須の論点であり、答案の「核」である。
  ①は「情報としての重要性」は低いが、「説明の論理性」の観点ではあるほうがよい。

字数が短ければ②だけで答案をつくり、字数に余裕があれば①もコンパクトに入れるということです。

(ⅲ)論拠(判断材料) *いえるのはなぜか

問いの形式が「いえるのはなぜか」になっている場合には、この「論拠型」で確定して大丈夫です。これについては別記事にしてあります。

「いえるのはなぜか」(解答方針)
「いえるのはなぜか」≒「そう考えたのはなぜか?」「いえるのはなぜか」という設問形式は、「ある表現」に傍線が引かれ、「その表現に至った理由」を問うている…

ただし、「いえるのはなぜか」という問いの形式でなくても、実質上この「論拠型」の「なぜか」になっているケースもかなりありますので注意しましょう。

見分けるポイントは、「述語」が「主語のたとえ・状態・性質」になっているかどうかです。つまり、

主語 ー 述語(主語の呼び方)
主語 ー 述語(主語の内容)

となっている場合には、問いの形式がシンプルな「なぜか」であっても、実質的に「いえるのはなぜか」に近いことになります。

たとえば、

きみは 可憐な花のようだ。(たとえ)
これ以上先に進むのは 危険だ。(状態)

といったものです。