本論(Body) 理由・論証・例証
全体の字数が短ければ「1つ」、長ければ「2つ」か「3つ」にして書く。
「本論:Body」は、「根拠を示すところ」なのかな。
そういうことになります。
「頭括型」をベースにした小論文の構成としては、
① ② ③ ④ ⑤
主題 → 結論的意見 → 理由 → 説明 → 例示
という流れを作りたいのですね。
「序論」には根本的には「①主題」があればいいのですが、「頭括型(または双括型)」で書く場合、序論に「②結論的意見」も書いておく必要があります。
「③理由」は、そのまま「序論」に書いてしまってもいいですし、「本論」にまわしてもOKです。
迷うようであれば、「序論」で「理由」について軽くふれるくらいまではしておいて、「本論」で「理由」についてしっかり深めていくのがいいですね。
その際、できればなのですが、「理由」の表現のあとにすぐに「例示」をおかずに、「(理由をよりくわしく述べる)説明」ができると論証が深まります。
でも、「なぜなら~だからだ。」のあとに、続けて「たとえば、~。」って例示を書いてしまいたくなるよね。
その間に入る「説明」っていうのは、何を書けばいいの?
大雑把にみて3パターンあります。
(1)くわしく掘り下げる。
(2)比較検討する。
(3)現状に至る「原因分析」をする。またはプラン導入後の「影響」を示す。
(1)は、自説の特徴や、提案するプランのメリットをくわしく説明することです。このあとに書かれる「例示」への「橋渡し」的なポジションです。
(2)は、「他の案と比較し、自説の優位性を示す」とか、「プランのデメリットに言及し、その対策を示す」とか、「自分の見解とは異なる立場」を示したうえで、「自分の案がいいよ」ということを示すことです。
(3)は、「現状」がこうなってしまった「原因」を分析するとか、プランを導入すると「こうなるはずだ」という仮説や展望を書くとか、因果関係を示すことです。
(1)(2)(3)をすべて書くと、「ボディー」のパラグラフは「3つ」になるということだな。
そういうことです。
ただし、入試の小論文はたいていそこまでの字数はありませんので、設問に応じて(1)(2)(3)のどれかを選ぶことが多いですね。
論点をひとつに絞るのであれば、「説明」のパラグラフと「例示」のパラグラフを分けてもOKです。
そうすると、「本論・Body」は、
〈a〉理由の説明(1)(2)(3)のどれか
〈b〉例示
という「2つのパラグラフ」で構成することもできます。
ボディーの論点が3つある場合の展開
【序論】
制服のジャージ化を提案する。ジャージのほうが、生徒の健康や、学力向上に貢献するからだ。
【本論】
(1)ジャージは、柔らかい素材で、伸縮性があり、動きやすく、制服よりも速乾性がある。
(2)今までの制服に比べると、式典のときなどにだらしなく見えるかもしれないが、ジャージをしっかり洗って、きちんと着ていれば問題ない。
(3)制服をジャージにすることで、災害があっても俊敏に逃げられる。汗もすぐに乾くので風邪をひきにくくなる。今までは緊張して受けていた講義も、リラックスして受講することができる。
【結論】
このように、ジャージは健康的で、積極的な学習をうながす。したがって、制服をジャージにするべきである。
うまく展開できていますね。
本論(1)で「ジャージの特徴(メリット)」について述べて、
本論(2)で「既存の制服」と対比したうえで、ジャージの優位性を示し、
本論(3)で、「プランが導入されることでこんな変化がある」ということを述べています。
このように、「Body」に3つの論点をおくなら、「特徴」⇒「対比」⇒「原因/影響」と展開していくことができますね。
ただ、しつこく繰り返しますが、たいていの入試小論文ではこんなにたくさん書く字数がありません。
たいていの場合は「くわしく書く」か「比較検討する」か「流れを示す」か、どれか1つできれば十分です。
【列挙型】の展開
なお、
ボディーが3つのパラグラフにできる場合でも、必ずしも「くわしく」「比較」「流れ」のような性格分けをしなければならないわけではありません。
シンプルに理由が3つあるのであれば、3つ列挙すればいいです。
【序論】
お昼は吉野家の牛丼にしよう。美味しいものが食べたいが、今日はお金もないし、時間もないからだ。
【本論】
(1)吉野家の牛丼は味付けがうまい。
(2)吉野家の牛丼は価格が安い。
(3)吉野家の牛丼は提供がはやい。
【結論】
このように、吉野家はうまくて安くてはやい。したがって、お金もなくて時間もなく、それでも美味しいものが食べたいこんな日は、吉野家の牛丼を食べよう。
見事に【列挙型】の小論文になっているぞ。
それぞれのパラグラフの中身 Topic(説明) ⇒ Support(補足)
でも、「吉野家の牛丼は味付けがうまい。」だけで「1つのパラグラフ」にするのは、字数が足りてない気がするよね。
そうですね。
できれば、「うまい」の補足事項として、「どんなふうに味付けがうまいのか」についても書いておきたいですね。
また、「安い」の補足事項として、「実際にいくらなのか」を書きたいです。
さらに、「はやい」の補足事項として、「何分くらいで提供されるのか」を書いておきたいです。
うまい。甘辛いたれが絶妙だ。
安い。牛丼並盛400円だ。
はやい。平均して1分30秒で着丼する。
っていう感じかな。
イメージしやすくなったぞ!
とてもいいです。
このように、「Body」のパラグラフひとつひとつの中身は、先に「説明」をして、後ろに「補足」を足すという構造になります。
この「説明」と「補足」の関係を、「Topic」と「Support」と呼ぶこともあります。
なお、この「補足」の部分は、多くの場合「具体例(例示)」になります。そのため、前半と後半のあいだに、「たとえば」とか「実際」などという表現をおいて、「後半はいっそうくわしいですよ」ということがパッと見てわかるようになっているといいですね。
Bodyのパラグラフのひとつひとつの内部は、
Topic(説明) → Support(補足)
の順で書く。
「Body」にパラグラフが「3つ」ある場合、3つとも「説明⇒補足」になるということなんだな。
はい。「Body」に「3つのパラグラフ」があるのであれば、その3つとも、前半が「Topic」であり、後半が「Support」となっているのが、「頭括型」をベースとした小論文の基本です。
パラグラフの中身が、
(ⅰ)原子力発電よりも、風力発電のほうが燃料費がかからない。
(ⅱ)実際、A県の原子力発電所の年間の燃料費は〇〇円であるのに対して、B県の風力発電所の燃料費はゼロ円である。
なんていう感じになっているといいんだな。
そんなふうに、後半のほうに、「固有名詞」とか「実際のデータ」とかが出てきやすいですね。
「Body」のパラグラフの「ひとつひとつ」の中身について、「前半」よりも「後半」を、いっそう具体的にすることを意識しておくといいですね。
(ⅰ)病院で働く医療従事者は~
(ⅱ)たとえば、猫山動物病院のタヌキチ医師は~
となっていれば、(ⅰ)よりも(ⅱ)のほうが「いっそう具体的」になっていますよね。
「Body」は「複数のパラグラフに分けることが基本」ということと、「それぞれのパラグラフは後半でいっそう具体的にする」ということだな。
そういうことになりますね。
「600字」とか、字数が短い場合には、通常であれば3つに分けるパラグラフを「1つ」に限定して、最も説得力のある論点を選択して書きましょう。