あらゆる教科に大量の参考書・問題集が出版されています。現代文もそうです。大きめの本屋さんに行くと、「現代文」のコーナーだけで、本棚ひとつぶんになります。
さて、その中で、多くの受験生にとって有用な一冊選ぶとしたら、『入試現代文へのアクセス』になります。
*詳細は、画像のリンク先(amazon)のレビューなどを参考にしてください。
現代文に関して、
① 実際に学力が向上する。
② 「この本で学力が上がった」という自覚がある。
という2点を、ほとんどの受験生に対して満たすのが、『入試現代文へのアクセス』です。
「アクセス」が千円程度で買えるというのは、「一人の予備校講師が書いている本」を同じ値段で買うことに比べると、圧倒的にコストパフォーマンスがよいです。「一人の予備校講師が書いている本」は、その講師の方法論にマッチする問題しか集めていないことも少なくありません。また、解説が強引なこともあります。特に記述問題に関しては、「これでは点にならない」という解答例もかなりあります。
しかし、「アクセス」はそうではありません。そもそも河合塾の4名の講師の方で相談しながら作成しているので、「強引だな」と思われる解説がありません。また、「アクセス」は、設問を作成する時点でかなり話し合っている痕跡があります。そのため、あらゆる傾向の設問を取り入れながらも、「この問題をやっても学力がつかないのではないか」「悪問ではないか」「偏りが激しいのではないか」と思われる問題がありません。
もっとも、入試そのものには、悪問もあります。また、偏った知識を問う問題も出題されます。しかし、そのような問題を「トレーニング」しても、「同じような悪問」や「同じような偏った問題」が出題される可能性は非常に低いため、「基礎学力」においても、「入試の得点」においても、受験生への恩恵はほとんどありません。
その点、「アクセス」には、そういった「いわゆる悪問」がありませんので、基礎学力の向上にも、実際の入試の得点にも貢献する可能性が、他の問題集に比べると圧倒的に高いといえます。
(そもそも、基礎学力の向上こそが、実際の入試の得点に貢献するのは当然のことですが……)
特に記述問題は、「設問」と「解答例」と「採点基準」が練りに練られており、類例がないほど質が高いです。どの問題も、「たしかに、こうとしか書けない」という良問になっています。
以上のことから、「記述対策の問題集でいいのありませんか?」と聞かれた場合、迷わず「アクセス」を薦めています。記述専用の問題集ではありませんが、記述問題につまづいている受験生にとっても、ある程度得意だけれどもあと一歩伸びたい受験生にとっても、「アクセス」が適切です。
「基本編」「発展編」「完成編」の三部作ですが、「基本編」が最も丁寧に作り込まれていますので、万人におすすめできるのは「基本編」です。「基本編」には、「復習ノート」も販売されていますので、両方実施すると、「現代文の問題を解く」という基本ルールを反復して定着させることができます。
「発展編」は、途中まではオーソドックスな内容ですが、後半がやや難しいです。特に随想に関しては解答しにくい問題もありますので、「志望大学に随想や小説の記述問題がない」という受験生にとっては、「発展編」の「随想」や「小説」まで実施するメリットはそこまで大きくありません。
なお、「完成編」については、「基本編」「発展編」に比べると、「①難問が多い」「②解説・採点基準・解答例のあいだにやや整合性を欠いているところがある」という点で、「基本編」「発展編」ほどの魅力はまだありません。ただ、もう少し年月を経て、改訂を重ねれば、課題が修正されてくると思います。