『上級現代文Ⅱ』
『アクセス現代文(河合出版)』の著者たちによる、記述を中心においた問題集です。河合塾の解答速報などのサイトで公表されている「解答例」に至るプロセスが説明されているので、勉強になる部分が多いです。
『上級現代文Ⅱ』は、解説が丁寧ではありますが、いくつかの大学の過去問が収録されているぶんだけ、たとえば「東大に特化した対策をしたい」という場合には、ズバリ向いている本とは言えません。たとえば、「東大」と「京大」では、「どこまで細かく書くか」という「レベル」が、ある程度異なるので、「東大」と「京大」の過去問を同じ本に入れている以上、「方法論の範囲」はやや広がってしまいます。
同じような文章の同じようなところに傍線を引いたとしても、東大なら70字程度で書く問題になっており、京大なら100字くらいで書く問題になっている、という傾向の違いがあるからです。その際、「京大なら複数挙げられている例示の一つ一つを抽象化して説明表現になおす」「東大ならさらにそれを一気に一般化する」といったような「制限字数から考えられる細かさの違い」が若干あります。
なお、『上級現代文Ⅰ』のほうにも東大の課題文が複数採用されていますが、答えやすくするために、問いを改変したり、制限字数を設けたりしており、実際の過去問よりも平易になっています。
『Ⅰ』のほうは、志望校の対策をするというよりは、「記述の基礎を固める」という目的で使用することになります。また、『Ⅰ』は、問題数が非常に多く、すべてやるにはかなり時間がかかるので、本気で取り組むのであれば、高校1年次や2年次からしっかり計画立てておく必要があります。
なお、『上級現代文』については、『Ⅰ』に取り組むにせよ、『Ⅱ』に取り組むにせよ(あるいはその両方に取り組むにせよ)、その前提として『アクセス現代文基本編』を終わらせておくほうが、合理的な学習ができます。