記述は基礎の寄せ集め

記述問題(特に国公立の長い記述)は、根本的に「基礎の寄せ集め」です。

「基礎」が何を意味するのかというと、たとえば、次のようなものです。

① 主語と述語が対応しているか。
② 指示語の指す対象を過不足なく指摘しているか。
③ 比喩表現をそのまま使用せず、実態のほうを説明しているか。
④ 具体例をそのまま使用せず、一般化した表現で説明しているか。
⑤ より客観的、説明的な表現を選択しているか。
⑥ そもそもの辞書的な語彙力があるか。

たとえば東大ではひとつの小問が5、6点程度と考えられていますが、問題を分析すると、上記の①~⑥のうち、複数の基礎事項が集合して設問になっているケースが少なくありません。

したがって、そのうち3つくらいに気づき、答案に示すことができれば、十分に合格点に近づいていきます。

年度にもよりますが、多くの国公立大学の国語の合格点は6割程度です。「現代文・古文・漢文」を課す大学においては、受験生のほとんどは、「古文・漢文」のほうが得点を取りますから、「現代文」の領域に関していえば、「5割」を超えることが当面の目標になります。

〈国公立の記述問題の現代文は、5割を超えることがひとまずの目標〉

もちろん、もっと取れたほうがよいことは言うまでもありませんが、現実的には、部分点を積み重ねて、このラインを突破することが重要です。「賭けに出たような冒険心あふれた自己流の答案」を書くと、ほぼ零点になる可能性があります(そもそもそういう受験生の得点によって現代文の平均点は下がっています)。とにかく「部分点で5割超」が記述現代文の基本的な態度です。

あらゆる問題で5割を取れるようになると、おのずと、6割、7割取れる小問が出てきます。

現実的には、

小問1 3/6点 (基本達成)

小問2 2/6点 (ミスで失点)*主語の書き忘れなど

小問3 4/6点 (基本達成+α)

小問4 3/6点 (基本達成)

というような点の取り方で、合格していく受験生が多いものです。

このように、記述現代文は、「ざっくり」考えて、「ざっくり」書いても決してうまくいきません。

採点者から見ても、採点項目に一致している語句を採用している答案は減点できませんから、小説家のような美文でないほうが、かえって得点は高くなります。

ところで、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』『AIに負けない子どもを育てる』という本には、「RST(リーディングスキルテスト)」というテストが紹介されています。

これは、教科書が読めているか、読めていないか、ということを判定するテストです。

「係り受け解析」「照応」「同義判定」といった項目に沿って、「読めているか」をチェックしていくのですが、これらの項目は、まさに国公立記述の「基礎」とかなりの部分で合致します。

まさに、「読める人」は「書ける人」なのです。

卓越した言語運用能力を持っている人は、細かく考えなくても、自然とできてしまうものですが、多くの場合、こういう「基礎」が「ある」という認識がなければ、「読む」「書く」という行為は難しいものです。

このように、小学校・中学校の教科書を読む力と、難関国公立大学の入試問題で問われている力は、大げさではなく「ほとんど同じもの」です。

したがって、小中学生のころから、「読む」という基礎を自覚的に身につけている人は、ほとんど対策をしなくても国公立の記述問題で合格点を取ります。「読む」という基礎をないがしろにしてきた人も、それに合わせたトレーニングをすれば合格点を取ります。

実際の運用は簡単なことではありませんが、基礎項目はそれほど多くなく、シンプルな意識付けで習得が可能です。