アイデンティティ 【重要語雑談】

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東国武士
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【東国武士】 司会進行的な役割

みみながいぬ
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【みみながいぬ】 あしが短くて耳が長い。論理的思考力がなくもない。

さすらいねこ
さすらいねこ

【さすらいねこ】 いろいろさすらっていたねこ。発想力が豊か。

アイデンティティ 【重要語雑談】

けっこう前の映画だけど、『ボーン・アイデンティティ』っていう記憶を失った男のスパイ映画を見たよ。

変わった名前だね。ボーン・アイデンティティ。

チキチキボーンみたいなやつだな。

お弁当に大人気の冷凍総菜じゃないよ!

しかもボーンは名前だけど、アイデンティティのほうは名前じゃないよ!

へええー。

じゃあ、アイデンティティって何?

I don’t tea. だろうな。

違うよ!

そもそも I don’t tea. って文法がへんだよ!

私は紅茶じゃない?

私は紅茶を飲まない?

だから、そもそも文法がへんなんだってば。

いや、そうじゃなくって、ひとつの単語なんだってば。「identity」だよ。

どんな意味?

【自己同一性】とか【自我同一性】とかって訳されるよ。

日本語にしても難しいね。

「同一」は、ひとつは「昨日の自分と明日の自分が同一である」っていうイメージで、持続的に同一である自分の情報ということになる。

たとえば「IDカード」というのは「identity card」のことで、「身分証明書」のなんだけど、これには「持続的に同一である自分の情報」が載っているよね。

そういう情報にかんしては、「年齢」「性別」「勤務先」「住所」などといった「社会的な属性」と結びついているから、「アイデンティティ」を「帰属性」と訳すこともある

社会的な意味合いとしては、「アイデンティティ=帰属性」と考えて大丈夫。

「社会的な意味合い」ということは、別の意味合いもあるのかな?

心理学的な意味合いで、「アイデンティティの確立」とか「アイデンティティの喪失」とか「アイデンティティ・クライシス」なんていう表現で登場することがあるんだけど、その場合、「帰属性」とはちょっと異なるニュアンスで用いられているよ。

この分野では、「自分という存在(現象)と、自分に対する説明(認識)が一致する」ことを、アイデンティティの「確立」とか「獲得」などと表現する。

反対に、「アイデンティティの喪失」などと言うと、「自分の認識上で、自分の存在の唯一性がよくわからなくなる」という意味合いになったりする。それは自己認識の危機なので、「アイデンティティ・クライシス」などと言うこともある。

むずかしいね。

「自分で説明できる自分らしさ」とか?

ああ~。

わからなくもない。

「私」は「いぬ」だ。

そう、そういうの。

【いぬだ】っていうのは、確かにアイデンティティのひとつだけど、それだとどのいぬにも当てはまってしまうから、もっと特別な説明がほしいな。

「私」は「カリカリチーズ」が好きな「いぬ」だ。

そう、そんな感じで、もっとない? 好きな小説は?

小説は読まない。漫画専門。

自分は『深夜特急』とか『もの食う人々』とか『奥の細道』とかが好きだよ。

そうすると、さすらいねこは、旅の本が好きなんだね。

さすらいねこにとっては、【旅に対する思い入れ】がひとつのアイデンティティになるんだろうね。

ああ~。自分は『タッチ』や『スラムダンク』が好きだよ。

みみながいぬにとっては、【野球漫画やバスケ漫画やカリカリチーズが好きだ】っていうことがひとつのアイデンティティになる。

なるほど。

じゃあ自分は【コーヒーはブラック】で、【アイスはバニラ】で、【野球は阪神タイガース】で、【旅を愛する】、【白黒】の【トラ】ってことになるんだな。

え?

さすらいねこ、トラだったの?

初耳だよ!?

だったらいいなってことだ。

だとしたら、かなり新種のトラだよ。

世界に一匹しかいないよ。

ロンリータイガー。オンリーミー。

ちょっ、かっこいいよそれ!

ロンリータイガー。オンリーミー。

これ、流行語大賞いけるよ!

いけないよ! なんの話になっちゃったの?

ああ~、アイデンティティの話だったね。

難しいよね、このことば。

確かに。

前述したように、社会的な意味で用いる場合は、「帰属性」と考えておけば大丈夫。

ただ、心理学的な意味合いで評論文に登場する場合には、「自分で説明できる自分らしさ」という意味合いで受け止めておくといいね。

社会で生きている限り、何らかの属性は持つから、社会的には「アイデンティティの喪失」には至らないけど、その属性と自己認識がずれている場合、心理学的には「アイデンティティの喪失」が起きていることになる。

「アイデンティティの喪失」に陥らないようにするにはどうすればいいの?

うーん。とにかく、いろいろな経験をすることが大切だろうね。

たとえば、映画をたくさん観ていけば、好きな映画とそうじゃない映画に分けることができるようになる。そうすれば、自分がどんなものを好むのかっていうことを客観的に理解していける。

2人はどんな映画が好き?

『タイタニック』とか『バックトゥザフューチャー』とか。

ハリウッドの、演出が派手なものが好きなんだね。

自分は……、『スミス都へ行く』、『ひまわり』、『素晴らしき哉、人生』、『太陽がいっぱい』、『ウエストサイドストーリー』……。

しぶすぎるよ!

さすらいねこ、何歳なの!?

あと、『ボーン・アイデンティティ』

観てんじゃん!

じゃあ、冒頭部分でもっとまともなコメントしてよ!

「チキチキボーン」って、観た人のコメントじゃないよ!

ご、ごめん。

そうやって考えると、記憶喪失のボーンにとって【自分は何者なのか】ということがメインテーマになるから、ボーン・アイデンティティっていうのは、ボーンが自分自身で【自分は何者なのか】ということを探していく物語っていうことになるんだろうね。

そうに違いないね!

タイトルの意味がわかったね。いやー、叫んでいたらのどが渇いたよ。

何か飲もうか。コーヒー? 紅茶?

私は紅茶ではない。

I don’t tea.

もどっちゃったよ!

あと文法へんだよ!