four square writing method

小論文の構成を考える際には、「four square writing method」が有効です。

アメリカの小中学生が学ぶ形式なのですが、とても汎用性が高い思考法なので、小論文を書くときの「メモ書き」にぜひ取り入れてみましょう。

下図のように4分割した四角形のなかに、構成を書き込んでいくやり方です。

┌─────┬─────┐
│ 根拠a │ 根拠b │
├─────┼─────┤
│ 根拠c │ 結 論 │
└─────┴─────┘

この「4スクウェア」には「問題提起」は含まれないの?

小論文にするなら、「問題提起」は別枠で前に書きます。

それが「序論」になりますね。

「根拠a・b・c」のところが「本論」にあたります。

〈パラグラフ①〉序論(問題提起)
〈パラグラフ②〉本論(根拠a)
〈パラグラフ③〉本論(根拠b)
〈パラグラフ④〉本論(根拠c)

〈パラグラフ⑤〉結論

という構成だと、いわゆる「ファイブ・パラグラフ・エッセイ」になりますね。

ふむふむ。

「序論」の話をもうちょっとしておくと、「問題提起」をしたら、つづけて「結論」も示しておくのが普通です。

さらに「理由」まで示しておくといいとも言われますが、実際にはその「理由」についてしっかり説明するところが「本論」になるので、「序論における理由の表記」にはそれほどこだわらなくていいです。「書けたら書く」くらいで問題ありません。

あるいは、「理由は3つある」とか、「以下に、メリットとデメリットを見比べて考察する」というように、「これからどういう展開で根拠を述べていくのか」について軽く言及するくらいでもいいですね。

問題提起 → 結論 → 理由(書けたら書く)
根拠a
 
根拠b
 
根拠c
結論
  

「段落を5つ」にするのが基本線なんだな。

1,000字くらいあれば「全体で5つ:本論は3つ」で考えるのが自然です。

ただ、試験の小論文については、600字くらいが多いですよね。そういう場合は「全体」が「3つ」か「4つ」になります。「3つ」や「4つ」にするやり方は後回しにするとして、まずは「5つ」で書く考え方を見ておきましょう。

「本論」を「3つ」で考えるということですね。

「根拠a」「根拠b」「根拠c」って3つも書くのはたいへんだね。

そんなに思いつかないしな。

いや、これ慣れるとかえって簡単なんですよ。

ひとまず見ていきましょう。

What / Which / How

ひとまず「ある問い」があるとします。

「小説を読む意味は何か」とか、
「車を買うとしたらどこのメーカーがいいか」とか、
「街にゴミがあふれている問題をどうすべきか」とか、

いろいろな形式の「問い」がありますが、小論文の題材になるのは、「何(What)」「どちら・どれ(Which)」「どうやって(How)」のいずれかです。

やみくもに書き始める前に、What / Which / How のどれが求められているのか、考えるといいですよ。

並べる型 (論点並行型)

「意味づけ型( What 型)」の小論文の場合、論点を複数に分けて、それぞれ述べていく方法を使うことがあります。

これを「並べる型(論点並行型)」と呼んでおきましょう。

【問題提起】「ポイズン」は名曲か。【結論】名曲である。

a.歌詞がいい。
 
b.メロディーがいい。
 
c.歌いやすい。
歌詞がよく、メロディーがよく、歌いやすい。
 したがって、「ポイズン」は名曲だ。

「a.b.c.」のところは、小論文でいう「本論」に該当します。「右下」のところが「結論」ですね。

比較検討型 (比べる)

【問題提起】文化祭の出し物はお化け屋敷とカフェのどちらがよいか。【結論】お化け屋敷がよい。

a.お化け屋敷の特徴
b.カフェの特徴
c.お化け屋敷のほうがいい点
両者の特徴をふまえると、お化け屋敷にはc.の優位性がある。
したがって、お化け屋敷がよい。

それぞれの特徴を比べて、c.で「優劣」を考察する方法です。

これについては、次のように書くこともできます。

並べる&比べる

a.コスト
お化け屋敷 > カフェ
b.話題性
お化け屋敷 > カフェ
c.人の流れ
お化け屋敷 > カフェ
安価に実現でき、多くの人に来てもらえる。
 → したがって、お化け屋敷がよい。

「論点」を3つに分けて、それぞれ比べるという方法ですね。

大きな区別としては「並べる」であって、パラグラフの中では「比べる」になっています。

原因/効果型 (つなげる)

「困っていること」に対して「解決策(プラン)」を提示するタイプの小論文の場合、「つなげる型」で書くのが基本線です。

【問題提起】ゴミ問題をどうすべきか。【結論】デポジット制を導入するとよい。

a.原因(ゴミがあふれている背景)
  
b.対策(デポジット制の特徴)
 
c.影響(導入するとこうなる)
  
〈原因〉に〈対策〉をすれば〈影響〉になる。
 したがって、デポジット制がよい。

「原因の分析」「対策の詳細」「仮説」という「流れ」をつくるやりかたです。

この「原因」については「序論」に出してしまうこともできますし、「影響」については「結論」に出してしまうこともできます。

プラン提示型を「比べる」で書く

「プラン提示型」について、「原因」がはっきりしないことも多いですよね。

そういう場合には、ひとまず「原因分析」は無視して、プランの特徴をひたすら述べることもできます。

その際、「メリット」と「デメリット」が視野に入っているといいですね。

【問題提起】ゴミ問題をどうすべきか。【結論】デポジット制を導入するとよい。

a.メリット
  
b.デメリット
 
c.メリットがデメリットを上回る理由
(あるいはデメリットの解決策) 
c.により、a.がb.を上回る。
 したがって、デポジット制を導入するとよい。

複数のプランの見比べ

プランがいくつかあるなら、「並べる&比べる型」にしてもいいですね。

【問題提起】ゴミ問題をどうすべきか。【結論】〈プランA〉がよい。
a.効果
プランA > プランB > プランC 
b.コスト
プランA > プランB > プランC
c.持続性
プランA > プランB > プランC 
a.b.c.いずれもプランAが優れている。
したがって、プランAがよい。

それぞれを「1つのパラグラフ」にして「

根拠a・b・c と書きましたが、

〈 メリット / デメリット / メリット優位の理由 〉
〈 相手の主張 / 自分の主張 / 具体例 〉
〈 原因分析 / 対策 / 効果 〉
〈 プランの特徴 / 他プランとの比較 / 適用後の展望 〉

といったように、



普通は「3つの論点」があれば「パラグラフを3つ」にするわけですが、すべてコンパクト版にして、1つのパラグラフに畳み込むことも可能だからです。

例示の置き場所

よく「小論文は具体例が大事」って言われるけど、この場合はどこに書くの?

「根拠」というのは、大雑把に分けると、

(ⅰ)(理由となる)説明
(ⅱ)例示やデータ

になります。

通常は、同一パラグラフ内で(ⅰ)(ⅱ)をセットにして、次のように書きます。

┌─────┬─────┐
│ 説明a │ 説明b │
│ 例示a │ 例示b │
├─────┼─────┤
│ 説明c │ 結 論 │
│ 例示c │     │
└─────┴─────┘

あんまり難しく考えずに、「同一パラグラフ内の【前半】よりも【後半】のほうがいっそう具体的になるのが普通」くらいに考えておくといいですね。

【問題提起】 【結論】
①効果
プランA > プランB > プランC 
②コスト
プランA > プランB > プランC
③持続性
プランA > プランB > プランC 
①②③のいずれもプランAが優れている。
したがって、プランAがよい。

ああ~。

「小論文」のテキストの解答例を見ていると、結論のひとつ前のパラグラフを「まるまる例示」にしているものが多いね。

さて、「例示」というのは、ふつう「本論のパラグラフそれぞれの後半(あるいは真ん中)」に置くのですね。

ですから、①②③という「3つ」の論点がある場合、本来的には「①に適した具体例」「②に適した具体例」「③に適した具体例」という合計3つの具体例を書くことになります。

論点のぶんだけ「意見&例示」があるイメージですね。

しかし、そうは言っても、「小論文」くらいの字数だと、複数の具体例を出すスペースがありませんので、たいていは「1個」多くて「2個」ですよね。

そういう場合の例示の出し方にはコツがあって、今まで見てきた①②③の意見を一気に「1つのパラグラフ」に書ききってしまって、次のパラグラフで①②③に該当する例示をドカンと出す手法があります。

そうすると、次のような書き方になりますね。

〈パラグラフ①〉 問題提起+結論
〈パラグラフ②〉 根拠a・b・c
〈パラグラフ③〉 具体例
〈パラグラフ④〉 結論

なお、字数が短くて、例示を「1つ」しか書けないようなケースであれば、次のように、「例示のパラグラフ」を独立させてもOKです。

┌─────┬─────┐
│ 説明a │ 説明b │
│     │     │
├─────┼─────┤
│ 例 示 │ 結 論 │
│     │     │
└─────┴─────┘

これはそもそも字数が短いときの対応なので、「説明a」と「説明b」もセットにしてしまって同一パラグラフ内に押し込んでも大丈夫ですよ。

〈パラグラフ①〉序論
〈パラグラフ②〉説明a・説明b・例示
〈パラグラフ③〉結論

とか、

〈パラグラフ①〉序論
〈パラグラフ②〉説明a・説明b
〈パラグラフ④〉例示
〈パラグラフ④〉結論

となって大丈夫です。

小論文全体のなかで例示を1つだけ出すのであれば、「説明」のパラグラフと「例示」のパラグラフをそれぞれ独立させても問題ありません。