選択肢問題について

選択肢問題も「よい記述答案」を選ぶつもりで解きましょう。
記述についてはこちらをどうぞ。

選択肢問題というものは、根本的に「記述問題の代わり」に出題されています。
そのため、「記述問題ならどう答えるか」という観点で、それに最も近いものを選ぶ姿勢が重要です。
つまり、ここでも「よい正解」のための「3条件」が重要になります。
(ⅰ)応答
「設問の条件」にきちんと対応している。
(ⅱ)論理
傍線部の「論理関係」と対応している。
(ⅲ)表現
できる限り「客観的かつ一般的」な表現で解答が構成されている。
また、その表現の生成根拠が本文中に存在する。
選択肢は「比較」が必要

ただし、選択肢問題は、「正解」が常に「わかりやすく美しい表現」になっているとは限りません。
むしろ難しくするために、「正解そのもの」が「それほどよくない」表現になっていることも多いのです。
そのため、「他の選択肢」との比較において、「消去法」的な感覚を併用しないと、答えを確定することができません。
ここでは、「間違いの選択肢」の典型パターンをいくつか挙げておきます。
多くの場合、不正解の選択肢は、次のどれかに該当します。
「捏造」(そんなこと言ってない)
「混乱」(そんなつながりや組み合わせはない)
「極端」(そこまで言ってない)
「応答不一致」(そもそも答えていない)
「不正解」の根拠
捏造系(でっちあげによるミス)
(ⅰ)矛盾
♠選択肢の内容が、本文の内容(特に筆者の主張)と逆になっている。
(ⅱ)推論不能(話題なし・根拠なし)
♠選択肢中の「話題」が本文に存在しない。
♠選択肢の説明を導く「根拠」が見当たらない。
(ⅲ)価値判断(評価)の付け足し
♠本文中にない「プラス/マイナス」評価をつけ足してしまっている。
☘たとえば、本文中では「Aはαであり、Bはβである」としか言っていないのに、「AはBよりも優れている」というように、評価を付け加えてしまっているケースなど。
混乱系(「流れ」や「組み合わせ」のミス)
(ⅰ)因果関係(前後関係)の逆転
♠本文中で「AゆえにB」となっているものを、選択肢では「BゆえにA」としている。

小説問題で、時系列が逆になってしまっているケースもこれです。
(ⅱ)因果関係のこじつけ
♠本文中では因果関係になっていないものを、選択肢で無理やり因果関係にしてしまっている。
(ⅲ)対比項の混在・別次元の混在
♠「Aはαであるが、Bはβである」というような本文中の対比関係を取り違え、「Aは、βである」などと書いてしまっている。

小説問題で、違う場面や時間軸の出来事を、同じ状況に混在させてしまうケースもこれです。
極端系(程度・範囲のミス)
(ⅰ)誇大化(広すぎる・多すぎる)
♠ある範囲で通用するものを、他のすべてにも当てはまるように書いている。

「過度な一般化」と言ったりもします。
「すべて」「必ず」「常に」などがついているものには注意しましょう。
(ⅱ)矮小化(狭い・少ない)
♠いくつかのものに当てはまるものを、「狭い範囲」「少ない量」に限定しすぎている。

本文中で並列関係で列挙されているものの一つか二つにしか言及していないパターンです。
たとえば、「よしおは陸上と野球とサッカーが好きだ」と言っているのに、「よしおは球技が好きだ」とまとめてしまうようなケースです。
このようにまとめてしまうと、「陸上」が仲間外れになってしまいますね。
応答不一致系(問いに答えていないというミス)
(ⅰ)核心不在(必須事項の無視)/論点が違う
♠「傍線部に指示語があるのにその指示対象に言及していない」など、解答に必須である論点を無視している。
♠たしかに本文に書いてあることが述べられているが、「傍線部/設問」とは無関係な論点について語っている。

たとえば、傍線部には「主語」がないのに、「答案」でそれを補うということはよくあります。
その際、「別の主語」を持ってきてしまっている選択肢は不正解です。
テレビのコメンテーターとかにけっこう多いですよね。
「今その話してないんですけど……」というパターンです。
(ⅱ)設問条件無視
♠設問に条件があるのに、その条件に沿っていない解答になっている。

たとえば、次のようなケースです。
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☘「具体的に」という条件があるのに「抽象的でぼんやりした解答」になっている
☘「不適当なものを選べ」とあるのに「適当なこと」を述べている
☘「Aが起こることによって、最終的にどうなったのか?」と問われているのに、「最終的な現象」の「手前」までしか答えていない
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「設問」をよく見て、設問条件に線を引くなどのくせをつけておくといいですね。