記述問題について
現代文の解答は、まずは「記述」の考えが基本になります。
選択肢問題であっても、まずは「書くならどうすべきか」という観点が重要になります。
どんな問題でも、まずは「記述問題の解答姿勢」がベースになると考えましょう。
記述問題の解答姿勢(主な設問形式3パターン)
(a)「どういうことか」の場合、傍線部内の各要素をわかりやすく言い換える。傍線部内に「主語」がないことも多いが、字数的に可能であれば解答には「主語」を補うほうがよい。
(b)「なぜか」の場合、傍線部の「前提」となる「原因・理由」「目的・意図」などが問われているため、それらを探し出し、答案化する。
(c)「言えるのはなぜか」の場合、「論拠」が問われており、実質上「傍線部そのものの意味内容」を具体的に説明することが答案の「核」となる。そのうえで「前提」も補えるとよい。
「傍線部問題」は、原則的に以上の3パターンに分かれます。
もちろん、これ以外の問い方もありますが、それらは(a)(b)(c)の「応用版」と言えますので、この3つを「基本」と考えておくとよいです。
よい答案の三条件(応答/論理/表現)
(ⅰ)応答
「設問」にきちんと対応する答案になっている。
「設問の条件」を無視していない。
(ⅱ)論理
「どういうことか」であれば、答案の構成が、傍線部の論理関係(主語・目的語⇒述語)と、同じ意味内容になっている。
「なぜか」であれば、答案の構成が、「結論(主に述語)」に対する「原因・理由」または「目的・意図」になっている。
「言えるのはなぜか」であれば、答案の構成が、「傍線部内の抽象表現」に対し、その意味内容を具体化したものになっている。さらに「前提」も補足しているといっそうよい。
(ⅲ)表現
傍線部にかかわる「指示語」「比喩的表現」などを、わかりやすく言いかえることができている。
「表現」については、細かく言うと次のような方針があります。
答案作成における表現の注意点
(1)指示語は答案に持ち込まない。(指示対象のほうを書く)
(2)比喩は答案に持ち込まない。(実態のほうを書く)
(3)例示は答案に持ち込まない。(一般化する)
(4)傍線部「内」の熟語はそのまま答案に出さない。(言い換える)
(5)傍線部「外」の熟語は答案に使用できる。(言い換えなくてよい)
(6)客観的かつ一般的な名詞は、傍線部の内外問わず、そのまま書いてよい。
(「背中」「旅」「人」「猫」「建物」など)
「指示語を答案に持ち込まない」「比喩を答案に持ち込まない」といったものは、答案づくりの基本姿勢です。
逆を言えば、「傍線部」には「指示語」や「比喩的表現」が混入しやすいということです。
それらを「解決」していくと、点数の入る解答になっていきます。
なお、「指示語」は、「答案の内部の語句」を指しているのであればセーフですが、その場合でも多用は避けましょう。
選択肢問題
選択肢問題も「よい記述答案」を選ぶつもりで解きましょう。
選択肢問題というものは、根本的に「記述問題の代わり」に出題されています。
そのため、「記述問題ならどう答えるか」という観点で、それに最も近いものを選ぶ姿勢が重要です。
つまり、ここでも前述した「3条件」が重要になります。
(ⅰ)応答
「設問の条件」にきちんと対応している。
(ⅱ)論理
傍線部の「論理関係」と対応している。
(ⅲ)表現
できる限り「客観的かつ一般的」な表現で解答が構成されている。
また、その表現の生成根拠が本文中に存在する。
選択肢は「比較」が必要
ただし、選択肢問題は、「正解」が常に「わかりやすく美しい表現」になっているとは限りません。
むしろ難しくするために、「正解そのもの」が「それほどよくない」表現になっていることも多いのです。
そのため、「他の選択肢」との比較において、「消去法」的な感覚を併用しないと、答えを確定することができません。
ここでは、「間違いの選択肢」の典型パターンをいくつか挙げておきます。
多くの場合、不正解の選択肢は、次のどれかに該当します。
「捏造」(そんなこと言ってない)
「混乱」(そんなつながりや組み合わせはない)
「極端」(そこまで言ってない)
「応答不一致」(そもそも答えていない)
「不正解」の根拠
捏造系(でっちあげによるミス)
(ⅰ)矛盾
♠選択肢の内容が、本文の内容(特に筆者の主張)と逆になっている。
(ⅱ)推論不能(話題なし・根拠なし)
♠選択肢中の「話題」が本文に存在しない。
♠選択肢の説明を導く「根拠」が見当たらない。
(ⅲ)価値判断(評価)の付け足し
♠本文中にない「プラス/マイナス」評価をつけ足してしまっている。
☘たとえば、本文中では「Aはαであり、Bはβである」としか言っていないのに、「AはBよりも優れている」というように、評価を付け加えてしまっているケースなど。
混乱系(「流れ」や「組み合わせ」のミス)
(ⅰ)因果関係(前後関係)の逆転
♠本文中で「AゆえにB」となっているものを、選択肢では「BゆえにA」としている。
小説問題で、時系列が逆になってしまっているケースもこれです。
(ⅱ)因果関係のこじつけ
♠本文中では因果関係になっていないものを、選択肢で無理やり因果関係にしてしまっている。
(ⅲ)対比項の混在・別次元の混在
♠「Aはαであるが、Bはβである」というような本文中の対比関係を取り違え、「Aは、βである」などと書いてしまっている。
小説問題で、違う場面や時間軸の出来事を、同じ状況に混在させてしまうケースもこれです。
極端系(程度・範囲のミス)
(ⅰ)誇大化(広すぎる・多すぎる)
♠ある範囲で通用するものを、他のすべてにも当てはまるように書いている。
「過度な一般化」と言ったりもします。
「すべて」「必ず」「常に」などがついているものには注意しましょう。
(ⅱ)矮小化(狭い・少ない)
♠いくつかのものに当てはまるものを、「狭い範囲」「少ない量」に限定しすぎている。
本文中で並列関係で列挙されているものの一つか二つにしか言及していないパターンです。
たとえば、「よしおは陸上と野球とサッカーが好きだ」と言っているのに、「よしおは球技が好きだ」とまとめてしまうようなケースです。
このようにまとめてしまうと、「陸上」が仲間外れになってしまいますね。
応答不一致系(問いに答えていないというミス)
(ⅰ)論点が違う
♠たしかに本文に書いてあることが述べられているが、「傍線部/設問」とは無関係な論点について語っている。
たとえば、傍線部には「主語」がないのに、「答案」でそれを補うということはよくあります。
その際、「別の主語」を持ってきてしまっている選択肢は不正解です。
テレビのコメンテーターとかにけっこう多いですよね。
「今その話してないんですけど……」というパターンです。
(ⅱ)設問条件無視
♠設問に条件があるのに、その条件に沿っていない解答になっている。
たとえば、次のようなケースです。
********************
☘「具体的に」という条件があるのに「抽象的でぼんやりした解答」になっている
☘「不適当なものを選べ」とあるのに「適当なこと」を述べている
☘「Aが起こることによって、最終的にどうなったのか?」と問われているのに、「最終的な現象」の「手前」までしか答えていない
********************
「設問」をよく見て、設問条件に線を引くなどのくせをつけておくといいですね。