(二)「賛嘆と皮肉の虚実がどう重なりあっているのか知れたものではない」とあるが、それはどういうことか、説明せよ。
まずは傍線部をざっくり分けてみましょう。主部も書き込んでみると、次のようになります。
芝居で涙を流す役者に対する、
「すばらしい」「奇蹟だ」というセリフは、 (主部)
ⅰ.讃嘆と
ⅱ.皮肉の
ⅲ.虚実が
ⅳ.どう重なり合っているか知れたものではない
「賛嘆」「皮肉」という語そのものは、そのまま使用しても減点にはなりません。単語自体の意味は課題文と無関係に理解できるからです。
しかし、できれば、「どのような賛嘆なのか」「どのような皮肉なのか」という「説明」したうえで、可能であれば「別の熟語」などに言い換えられたほうが「加点対象」となる可能性が高まります。
芝居で涙を流す役者に対する称賛の言葉は、役者の凄さを賛嘆しているのか、内心はしらけていることの皮肉なのか、その虚実を区別することができないということ。
「虚実」は、ここでは、セリフの中身が「本音」なのか「嘘」なのかがわからない、ということなので、そのように表現できるとよりよいです。
芝居で涙を流す役者に対する称賛の言葉は、役者の凄さを賛嘆する本音なのか、内心はしらけていることの皮肉めいた嘘なのか、判別できないということ。
ここまで書ければこのまま提出してよい水準ですが、「賛嘆」「皮肉」が傍線部内の熟語なので、時間に余裕があるのであれば、辞書的意味を利用して言い換えていきましょう。
推奨答案
役者の落涙の演技に対する称賛の言葉は、役者の凄さを褒めたたえる本音なのか、内心の失望をあえて逆に表現した嘘なのか、容易には判別できないということ。
*「容易には~できない」というのは、「一筋縄ではいかない」という本文表現から、「簡単にはいかない」というニュアンスを出したくて入れた表現です。ただ、傍線部の外部なので、採点項目には入っていないかもしれません。
採点基準
芝居で涙を流す役者に対する称賛の声は ①
役者の凄さを褒めたたえたのか ② (賛嘆のままは①点)
内心の失望をあえて逆に述べたのか ② (皮肉のままは①点)
本音か嘘かを判断できない ①
ということ。